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ふるさと納税にはらむ問題点・地域格差について考える

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ふるさと納税にはらむ問題点・地域格差について考える


ここ最近、ふるさと納税がすっかり浸透してきましたね。
年末にあっては、ふるさと納税の締め切りが近いこともあり、さまざまなふるさと納税ポータルサイトのCMも目にしました。



浸透し過ぎて過剰な返礼品への規制がかかったりもしています。


筆者Pabloのような陸マイラーにとって、ふるさと納税は陸マイルを生み出すポイント製造機の1つで、いい事しかありません。



しかし、一方でふるさと納税には問題もあります。その問題点について、深く考えたPabloはむやみにふるさと納税を行わないスタンスを取っています。



この記事では、ふるさと納税が抱える問題と本来のあるべき制度についてPabloの考えを書いていきます。

いろんな人のいろんな考え方があっていいと思います。それを大前提にして、キレイごとを述べてみたいと思います。

それでは行ってみましょう。




ふるさと納税ってそもそも何?



ふるさと納税とは、「地方創生」を目的に作られた、地方の税収を増やすための制度です。


多くの人が地方で育ち、就職の際に都会に出ます。
主に納税するのは就職してからですので、結果として、都会にのみ納税するということになります。

これにより、生まれ育った地方の税収が減るという自体に陥るため、地方が廃れていくことからこの制度はできました。

地方で生まれ育ち都会に出てきた方には、誰でもふるさとへ恩返ししたい想いがあるのではないでしょうか。育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれた、ふるさとへ。都会で暮らすようになり、仕事に就き、納税し始めると、住んでいる自治体に納税することになります。税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか。そのような想いのもと、「ふるさと納税」は導入されました。

出典:総務省ホームページ http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/





この制度の意義については、非常に素晴らしいと思います。


私自身も地方から上京し、東京で働いています。
生まれ故郷はいまだに大好きな場所ですし、その生まれ故郷が廃れていく姿を見るのはとても悲しいものです。

そういった意味では、素晴らしい制度です。





ふるさと納税にはらむ3つの大きな問題点


しかし、このふるさと納税には制度として、以下の3点の大きな問題点をはらんでいます。

①地方の税収が増える一方で、都会の税収が減る
②利権に群がる企業が増える
③地方に格差が生まれる

それぞれの問題について、Pabloの考えを述べてみたいと思います。




①地方の税収が増える一方で、都会の税収が減る



まず1つ目の問題が「地方の税収が増える一方で、都会の税収が減る」ということです。



ふるさと納税の仕組み


ふるさと納税の仕組みは以下の通りです。
ふるさと納税の仕組み
出典:さとふる https://www.satofull.jp/static/instruction01.php



上図の通り、私たち納税者は「ふるさと納税」を行うと、任意の金額を任意の地方に納税することになります。
その代わりに、自己負担額2,000円を除く納税額が、現在自分が住んでいる自治体に支払う予定であった納税額から控除されるという仕組みです。
ふるさと納税の中の納税額からの控除




上記に加え、各自治体から「返礼品」をもらうことができます。

「返礼品」とは、「寄付してくれてありがとうございました。」というお礼の品です。



私たち納税者にとっては一見、非常にいい制度のように思えます。
「実質2,000円負担で、豪華な返礼品がもらえる」ということになりますから。


損得だけで言えば非常に「お得」な制度です。




住民数と歳入のバランスが崩れる!?



しかし、前述の『現在自分が住んでいる自治体に支払う予定であった納税額から控除される』ことについて考えていますか?



これは、言い換えれば、「現在お住いの自治体へ納税額が減る」ということです。

「納税額が減る」ということは、現在お住いの自治体がその住民のために使えるお金が減ることを意味します。


これは、「住民サービスの低下」につながります。





その自治体の納税額は、住民の人数に比例します。
また、「住民サービスの提供」にかかる費用も、住民の人数に比例します。


つまり、一般論としては、ふるさと納税を実施していない状態での住民の数と税収のバランスは適切であると言えるのです。


多くの住民がいる都市部の自治体はお金がかかり、住民数が少ない地方の自治体はかかるお金が少ない。
これが、ベースです。




しかし、このふるさと納税という制度が始まって以降、このバランスが崩れつつあります。

「住民サービス」にお金がかかる都市部の税収が減ってしまっています。

これが何を意味するか。



自分が住んでいる地域の「住民サービス」が低下する恐れがあるという事です。



住民サービスが低下する!?



なぜ住民サービスが低下する恐れがあるかというと、地方自治体にとって住民税の歳入(収入)の割合が高いからです。



以下の図の通り、地方自治体全体の歳入のうち住民税を含む地方税の割合は、実に全体の約35%を占めます。
歳入決算額の構成比


非常に大きな割合ですね。



ただ、住民税は地方税の1つです。
地方税の中で、住民(市民税・県民税)が占める割合は、以下の図のように、その30%程度です。
国税・地方税の税収内訳




つまり、地方自治体の歳入の約10% (35% x 30%)が住民税(市民税・県民税)にあたります。

10%というと少ないようにも思えますが、大都市圏の10%はその母数が大きいだけに金額も非常に大きいです。





例えば、東京都品川区の平成27年度の歳入は約1,490億円でした。

このうち住民税の金額は、先述の通り10%とすると、149億円にもなります。

ざっと計算して、住民税の約25%程度をふるさと納税での控除額とした場合、約38億円程度の歳入が私たちの住んでいる地域からなくなることを意味します。(理論上)




言いかえれば、この場合、38億円で提供されるはずだった住民サービスが、その減った金額分だけ低下する恐れがあるという事です。





以下は、地方自治体の歳出の割合です。
目的別歳出決算額の構成比



この中で特に割合が大きいのが「民生費」と「教育費」です。

「民生費」とは、簡単にいえば「福祉」に関する費用です。「教育費」は言葉のままの意味ですね。
上記の38億円がどこで使われるはずだったかは断言できないですが、大きな割合を占める「民生費」と「教育費」に影響を与えかねないという事です。



くらしに大切な「福祉」と「教育」。



ふるさと納税によって、あなたが住んでいる地域の「福祉」や「教育」に関する行政サービスの質が落ちるかもしれません。


ふるさと納税を行っているあなた自身がその事に物言いをつけた時、「ふるさと納税で歳入が減っているから」と言われれば、何も返す言葉がないのではないでしょうか?



www.sankei.com
実際に杉並区では大幅な税収減があり、上記ニュースのような活動を行う程、事は深刻です。


自分の住んでいる地域で、ふるさと納税による減収による『福祉』や『教育』の質が低下しても、返礼品欲しさのふるさと納税を自分自身がしていたら、何も文句は言えません。


逆に、ふるさと納税をする際は、自分の住んでいる地域の歳入が減少し、『福祉』や『教育』の質が低下する事を覚悟しなければなりません。


極端に言えば、それぐらいの覚悟でふるさと納税を行わなければならないという事です。




②ふるさと納税の利権に群がる企業が増える



ふるさと納税の2つ目の問題点が、このふるさと納税という制度という利権に多くの一般企業が群がっているという点です。

ふるさと納税は、先述の通り「納税」という名の寄付行為です。
本来であれば、一般企業の介入をさせず、行政だけで行うべきです。



しかし現状は、多くの一般企業がふるさと納税ポータルサイトという形で参画しています。

ふるさとチョイス、さとふる、ふるさとぷらす、ふるなび、ふるぽ、ふるまる、楽天、Yahoo!、ANA、JAL ...



ふるさと納税に特化したポータルサイトをはじめとし、大手の楽天やYahoo!、私たちが利用しているANAやJALまで、多くの企業がふるさと納税に関わっています。

なぜ、これだけ多くの企業がコゾッてふるさと納税事業を行うか。



それは、儲かるからです。



どこの企業も慈善事業ではないので、儲からないものには飛びつきません。



その儲けはどこから来るのでしょうか?


自己負担の2,000円分だけでしょうか?
税金から「もうけ」となるお金が捻出されているのではないでしょうか?



ふるさと納税がなければ生まれない一般企業の儲けが、この制度によって生まれています。


その年のふるさと納税の締め切りになる年の瀬12月には、ふるさと納税ポータルサイトの品のないCMがあふれるように流れていましたよね?その企業は、その莫大な広告宣伝費を支払ってもあまりある儲けを稼ぎ出していると考えるのが妥当です。



あなたはその事をどう思いますか?




③地方に格差が生まれる



このふるさと納税の3つ目の問題は、ふるさと納税によって地方に格差が生まれるという事です。


皆さんがふるさと納税先を選ぶときは、何を基準に選んでいますか?
返礼品で選ぶという人がほとんどではないでしょうか。


そうなると、「魅力的な返礼品」を用意できる地域に多くの寄付が集まり、それをできない地域には寄付が集まらなくなってしまいます。
地域に、「魅力的な特産物」があればいいですが、なければ用意しなくてはなりません。

「金券」を返礼品にしていたところもありました。


そうなるともう意味が分かりませんw



本来であれば、このふるさと納税という仕組みを利用して税収を増やすとともに「町興し」をしようとするのが、行政側の真っ当な狙いです。
しかし、「お金さえ集まればいい」というスタンスの地域も多いです。


真っ当に「町興し」をしようと地元の特産品が地味であれば、この「金券」組に負けてしまいます。




その結果として、「地方創生」を目的としたふるさと納税によって地域格差がより一層広がってしまっているという現実があります。


「公平な競争の結果」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、そもそも「競争」の内容が間違っているのではないでしょうか?



ふるさと納税の本来の目的は「地方創生」。
各地域の目的は「寄付を集める事」。



似ているようで、違います。




ふるさと納税という制度について考えましょう



もちろん、ふるさと納税という制度は悪いことばかりではありません。
いい部分もたくさんあります。


しかしながら、現状の仕組みでは悪い部分があまりクローズアップされません。
テレビニュースも、スポンサーがふるさと納税事業を行っている場合、思い切って否定することもできません。


そのため、ふるさと納税を行っている人たちの中には、「美味しいものがもらえて、住民税も控除されるいい仕組み」としての認識しかない人も多いのではないでしょうか?



また、「自分一人がやめても大して変わらない」と思う人も多いでしょう。



制度として成立しているので「問題」はありませんし、そういった人々を責めるべきではありません。
筆者Pabloも責めるつもりはありません。





しかし、先述の3つの大きな問題について、一度考えてみませんか?

特に自分が現在住んでいる地域の住民税の歳入が減ることについて。



短期的にみると返礼品ももらえて、ポイントも貯まり、住民税が控除される「いい事尽くめ」の仕組みです。

しかし、中長期的に考えてどうでしょうか?






まとめ



ふるさと納税に対する筆者Pabloの考え

ふるさと納税は、「お得」という感覚だけでやるべきではない。
ふるさと納税の本来の目的、ふるさと納税に含まれる問題点を考えた上で責任を持って行う必要がある。

ふるさと納税という制度自体は、非常に面白いと思っています。
また、現在ふるさと納税を行っている人を否定する気もありません


ただ、自分を含めた家族が住む地域の住民税の歳入が減ることは忘れてはいけません。


例えばお子さんがいる家庭に関しては、その地域の「福祉」や「教育」にかける税金が減っても大丈夫ですか?



また、ふるさと納税先の地域が、そのお金でその地域に不必要な施設を、ふるさと納税で得た税金で建設してても何も思いませんか?

よく地方に、「誰が使うんだ」という真新しいスポーツ施設を見かけたりしますよね?あんなものが増える可能性もあります。



「ふるさと納税」自体は、国が決めた制度です。
現在は制度自体にゆがみがあり、こういった様々な問題をはらんでしまっています。

根本は制度を改定しなければ変わらないでしょう。




一方で、利用する私たちも、制度を理解し、自分や自分の家族が後悔しないような選択をしなければなりません。


自分が住む地域の税収が減り住民サービスが低下する一方で、自分が寄付したもともと縁のない地域の政治家たちが私腹を肥やすという自体だけは避けなければなりません。




私にとっては、私は住んでいる地域や本当の「ふるさと」が、これから先も満足な行政を行う事ができ、住民が幸せに暮らすことが一番の望みです。